こんにちは、イベント運営担当の阿久澤です。

DeNAでは、新たなコンテンツを創造できる若手ゲームプランナーの育成を目的に、『座・芸夢 若手ゲームプランナー育成塾 〜未来を担う人に伝えたいこと〜』というイベントを開催しています。


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今回ご登壇いただいたのは、これまで多くのゲーム開発に携わり、現在は研究者としてインタラクティブシステム、コンテンツを通じた主観的体験に関する研究も行なわれている、𥱋瀨洋平(やなせ ようへい)さん。
本イベントでは4回目のご登壇となります。
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◆過去の登壇の様子はこちらから 

・第2回

ゲームの要素を分析する

http://creator.dena.jp/archives/44850154.html


・第5回

「企画の効率化」

http://creator.dena.jp/archives/45835378.html


・第11回

「VRシステムの企画」

http://creator.dena.jp/archives/47419668.html


ここからは、本イベントの概要をレポートしていきます。

今回参加できなかった方も、こちらのレポートで会場の雰囲気を感じていただければ幸いです。


■「消極性問題」を解決してみよう

 

今回の講義で取り上げたテーマは、「消極性デザイン」。
聞き馴染みがなく、ともすれば少しネガティブな印象を受ける言葉ですが、𥱋瀨さんはこの「消極性デザイン」はゲームにも応用できるものだと言います。
では「消極性デザイン」とは、一体どのようなものなのでしょうか?
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簡単に説明すると、「消極性デザイン」とは、対人コミュニケーションの苦手意識や、日常生活におけるやる気のなさを解消するためのデザインです(𥱋瀨)

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ここで𥱋瀨さんは例として、「婚活サイト」を挙げました。
いわゆる「婚活サイト」を検索すると、キラキラしたカップルや、爽やかな男女の写真が前面に出されるものが多くなっています。
もちろん、そのきらびやかさに惹かれて入会する人もいますが、その明るさに身構えてしまい「自分とは違う」と消極的になってしまう人も多いのではないでしょうか。とすると、一見ダサいサイトも安心感につながるかもしれません。

何かを提供する時、ポジティブな要素を示しただけでは動かない人は大勢います。それを解消する方法のひとつが「消極性デザイン」です(𥱋瀨)

ここから𥱋瀨さんは、具体的な「消極性デザイン」を、いくつか紹介していきます。


・例1 席決めのシステム
夕食などで席決めをする際、誰の近くがいいかこっそり希望を聞いたとします。
「Aさんの近くの席を希望する」方式だとAさんが自分を指定していなかった場合に指定したことを悟られてしますが「AさんとBを近くの席にする」方式だと誰が指定したのかわからなくなり気軽に使えるという話です。
例えば先生が学生を誰かの近く座らせる、など利用法も広がるので消極的な人のためだけのデザインではないこともポイントという話です。
 

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・例2 画面覗き見の解消
仕事中のPCのモニターや、電車内でのスマートフォンの画面など、覗かれるのは嫌なものです。
ですが、ほとんどの人は覗いてるであろう人に、「覗かないで」とは言えません。
「もしかしたら覗いていないかも…」などと、考えてしまうからです。
それを解決する方法として、ショートカットキーによって「覗かれています」というような画面を表示することで、技術を駆使した防止システムであるかのように見せかける、というところが肝です。
 
機能に責任を負わせたことで、覗かれる側の心理的負担も軽減されるのがポイントです。


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・例3 ゲームがうまくプレイできない人に
さらに例のひとつとして、簗さんは「誰でも神プレイができるSTG」というゲームを紹介しました。 

これはいわゆる「弾幕系シューティング」の一種で、序盤は通常の弾幕系シューティングのように、初心者はすぐやられてしまう難度になっています。
ですが、再プレイをするたびに、「神プレイ」のような弾よけが自然とできているというものです。
これには仕掛けがあり、プレイヤーが「やめようかな」と消極的になりそうなタイミングで、未来位置予測によって「ギリギリ当たらない弾」を敵側が出すようになっていのです。
 
うまくプレイしたいという人に難易度を下げたものを提供しても要求を満たす事はできません。そこで見た目は難しいが実は簡単、というものを提供し、難しい状態から徐々に差し替えていくことで「うまくなった」と思わせる事ができます。やめてしまいそうなタイミングでそれができれば継続的にプレイしてもらえる、という話です。


3つの例を踏まえ、𥱋瀨さんは「消極性デザイン」を以下のようにまとめました。
 

▼消極的な人に響くデザインをするには
・システムやサービスのネガティブな側面を考える
・センシティブなユーザーがどう反応するか探る
・それらを消極的な人だけでなく全てのユーザーにとって良い形で解消する

「消極性デザイン」を意識することは、多くの人に遊んでもらうゲームをつくる上で、必ず役に立つはずです。興味を持った方は、ぜひ私も参加した書籍「消極性デザイン宣言 〜消極的な人よ、声を上げよ。……いや、上げなくてよい。」も読んでみてください(𥱋瀨)
『消極性デザイン宣言 ―消極的な人よ、声を上げよ。……いや、上げなくてよい。 』

■「消極性問題」を解決してみよう

講演が終了し、ここからは演習となりました。
𥱋瀨さんが挙げた演習内容は以下のものになります。

1、チームメンバー各自が消極的になってしまうシチュエーションを考える
2、それぞれが考えたシチュエーションについてて発表し合う
3、もっとも共感されたシチュエーションと、もっとも意外だったシチュエーションを選び、それぞれの解決するための具体的なシステムやサービスを考える

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さすがにここは消極的になっては何も進みません。
40分ほどと時間の短いこともあり、各チーム積極的に話し合いを進めていきました。

 
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以下、挙げられたシチュエーションと解決方法を、いくつか紹介します。

・飲み屋などで空になった食器を、店員にかたづけてくださいと言いにくい…
  →テーブルの横などに使い終わった食器を一時的に置くカゴを作る

・美容院などで髪を切り終わったとき、やり直して欲しい時に言いにくい…
  →「いかがでしょうか?」という聞き方でなく「お直しはどこにしますか?」といった聞き方にして、修正を言いやすい雰囲気を作る

・リーダーを決めるときに立候補がしにくい…
  →リーダーの役割をローテーションの交代制にする

・グループワークなどで自分の意見を言いにくい…
  →意見を一旦紙などに記載したのちシャッフルして、他人の意見をいうようにする

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発表されたさまざまなシチュエーションと解決方法は、なるほどと共感できるものが多く、確かに誰しもが大なり小なりの「消極性」を持っていると、実感できる時間でもありました。

参加者たちの発表を聞き、𥱋瀨さんは以下のような言葉で講演を締めくくりました。

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意識して「消極性」を考えてみることで、普段よりも多くの発見があったかと思います。また、それに対する解決法の中に、すでに実社会で組み込まれているものがあることも、気づかれたのではないでしょうか。それは「消極性デザイン」によって作られたルールが、実際に全てのユーザーにとって良い形で解消するものになった、という意味でもあります。
ゲームはルールを作る作業です。こういった「消極性の解決法」、つまりルールを考えることは、きっと今後のゲーム作りにも役立つはずです(𥱋瀨)


次回、「座・芸夢」もエントリーを開始しています。皆さんのエントリーをお待ちしております。

 

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次回の座・芸夢もおたのしみに!