こんにちは、イベント運営担当の藤村です。

DeNAでは、若手ゲームプランナーの育成を目的に、『座・芸夢 若手ゲームプランナー育成塾 ~未来を担う人に伝えたいこと~』というイベントを運営しています。

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業界内の著名な方々を講師に迎え、実践的な講演・演習を行う本イベント。満1周年を越え、14回目を迎えた今回も、多くの参加者にお集まりいただきました。


今回ご登壇いただいたのは、ゲーム創世記に数々の名作を手がけ、その後もゲーム作家、ゲーム研究者として幅広く活躍されている遠藤雅伸さん。現在も多くの作品を手がけながら、東京工芸大学教授や、日本デジタルゲーム学会理事研究委員長、宮城大学客員教授などを務め、後進の育成にも積極的に取り組まれています。

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座・芸夢には記念すべき第1回目にご登壇いただき、今回は2度目のご登壇となります。


◆前回の様子はこちらから

http://creator.dena.jp/archives/44548650.html


久々の「ゲームの神様:遠藤雅伸さん」による講演ということもあってか、今回はいつも以上の応募をいただき、誠にありがとうございました。

 

ここからは、本イベントの概要をレポートしていきます。

残念ながら今回参加できなかった方も、こちらのレポートで会場の雰囲気を感じていただければ幸いです。

■アイディアの寄せ集めから企画は生まれない――コンセプトとコンテクスト

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今回、遠藤さんが講演・演習のテーマに掲げたのはコンテクストからコンセプトを導く」。では、コンテクスト(文脈)からコンセプト(基本概念)を導くとはどういうことで、どんな意味があるのか? さっそく遠藤さんの講演が始まります。


「まず最初に言っておきたいのは、日本の名作と呼ばれるゲームのほとんどは、コンセプト主導のゲームデザインで作られたものばかりです」(遠藤)

 

ここで遠藤さんは、いくつかの日本発のゲームを紹介します。

「アクションの楽しさ」を中心にした『スーパーマリオ64』、「巻き込むという独自性」を中心にした『塊魂』、「キャラクターの魅力」を中心にした『ベヨネッタ』。

 

これらはどれもコンセプト主導で作られており、ある種のエポックメイキング的作品として、国内外で高い評価を受けています。

こういったエポックメイキングとなる作品は、既存の技術やアイディア、つまり「コンテクスト」からは生まれないと、遠藤さんは続けます。

 

「フォトリアルなグラフィック技術に頼れば、自然とFPSタイプのゲームになりがちですし、物理エンジンを前提にしたら、マリオやソニックのような物理に反した気持ちいいアクションは生まれません。最近で言えば、VRHMDを使えば面白いゲームが作れそう、などという幻想もあります」(遠藤)

ですが、実際の開発現場にはコンテクストが溢れています。そのいくつかの例と、それに対する反論を遠藤さんは提示します。


・マーケティングからターゲットを絞れ → マーケティングがプレイヤーのニーズに応えているというのは幻想である

・特定のデバイスを使え → フックにはなり得るが、使えば必ず面白いということはない

・○○を題材に作れ → ○○のイメージに合わせていたら新しいことはできない

・××みたいな物を作れ → パクリですか?


こういったコンテクスト優先で始まるプロジェクトは多くありますが、そこからエポックメイキングとなるものは生まれないと、遠藤さんは言います。


「コンセプトからではなく、コンテクストから作ろうとするのは、単純に売れ行きなどの予想が立てやすいからです。ですが、そこから新しいものが生まれるはずはありません。さらには、開発現場にも、さまざまな弊害を及ぼすことが予想されます」(遠藤)


ここでも遠藤さんは、いくつか弊害の例を挙げました。


・プロジェクト内に面白いと思っているメンバーがいない

・見せた際に「何かちょっと違う」などと言われる

・「少し違う切り口で何かアイディアない?」といった無責任なことを言われる

・プロジェクトが迷走しやすい

・納期に間に合わなくなる

・捜さないでほしくなる…


では、そういった事態を起こさないためには、どうすればいいのでしょうか?


「そのためには、コンテクストをそのまま落とし込むのではなく、一旦コンセプトの形にする必要があります」(遠藤)


・コンテクストが持っている面白さから、コンセプトを新たに作る

・このコンセプトにしたがって作れば間違いが減る

・コンテクストの要素を分析することから始める

・コンテクストは外見に捉われやすいので注意する

・コンテクストの正体を見破る


「コンテクストをコンセプトにすることで、先に挙げた弊害が減り、新しいものを作り出せる可能性も上がります。ここからは皆さんに、それを身につけるための演習をしていただこうと思います」(遠藤)


短くまとめられた講演はここで終了し、さっそく演習へと移りました。


■要素を分析しコンセプトを定義しよう

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演習に先立ち、受講者には「要素分析演習シート」が配られていました。

このシートをベースに、挙げられたテーマ(コンテクスト)をチームごとにひとつの要素(コンセプト)にまで落とし込むのが、今回の演習となります。


具体的な演習は、以下のような流れで行われました。


1、準備フェイズ

グループでいちばんテーマに詳しい人を「アンカー」に、ディスカッションを進行する人を「リーダー」に選びます。


2、発案フェイズ

いろんな視点からテーマの特徴を挙げていきます。最低10個は挙げましょう。新しいものが出なくなったら、次のフェイズに進みます。


3、否定フェイズ

各項目に対し「ほかにもっと適したものがある」、「一概に言えない」など、発案がユニークでないことを指摘し、消していきます。

アンカーは指摘に対し、発案がユニークと思われる違いを主張して、発案が消されるのを防ぐことができます。主張が受け入れられた場合は、発案の代わりに主張の違いを新しい項目として入れ替えます。

項目を消す指摘ができなくなったら、あるいは2つまで項目が消されたら、次のフェイズに進みます。


4、定義フェイズ

否定されなかった発案や項目を、「○○な○○」「○○で○○」のような2つの概念を助詞で繋ぐ言葉にまとめます。


演習では複数のテーマの分析が行われました。その中からいくつかのテーマと、最終的に受講者が出した要素を紹介します。

・テーマ「カラオケ」

▽最終的に受講者の出した要素

「手軽な私室」「格安の防音室」「人目を気にしないで自由に過ごせる」「自己を解き放つ」「楽曲の共有」「発声を伴う自己満足」「安価にパーティー」「大声が許容されるタイミング」「デンモクで選曲」「身近なライブステージ」「周りを気にせず爆音」

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遠藤さんはこれらを聞き、要素としてもっと短くするべき、「デンモク」などの新たなコンテクストを出すのは避けるべき、といたアドバイスがされました。


・テーマ「ドライブ」

▽最終的に受講者の出した要素

「大人の自己陶酔」「目的のない小旅行」「無制限の冒険」「ほどよい自由」「体の拡張」「選べる走り」「散歩の上位互換」「どこまでも行ける個室」「動かせる部屋」「個室でお散歩」「気ままな風」


こちらは後半の分析ということもあり、皆慣れてきた内容となっています。この要素から、新たなゲームのコンセプトに転換できるものもありそうだと、遠藤さんの評価も高くなっていました。


演習は時間ギリギリまで行われ、終盤はかなり駆け足の展開となりました。ですが、短いながらも濃いディスカッションが展開され、来場者の方にとっても非常に有意義な時間になったのではないでしょうか。
 

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次回の座・芸夢のエントリーも開始しています。

なお、次回は『座・芸夢 for STU』として学生の皆さまを対象に開催し、初めての関西開催となります。普段の東京開催での参加が難しかった学生さんは、是非エントリーしてください。


◆開催概要はこちら http://thegamestu01.peatix.com


次回の座・芸夢もお楽しみに!