こんにちは、イベント運営担当の藤村です。

DeNAでは、若手ゲームプランナーの育成を目的に、『座・芸夢 若手ゲームプランナー育成塾 ~未来を担う人に伝えたいこと~』というイベントを運営しています。

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業界内の著名な方々を講師に迎え、実践的な講演・演習を行う本イベント。
7回目を迎えた今回も、多くの参加者にお集まりいただきました。

ここからは、本イベントの概要をレポートしていきます。
今回参加できなかった方も、こちらのレポートで会場の雰囲気を感じていただければ幸いです。

■未知のゲームを想像しよう


今回ご登壇いただいたのは、コーエーでのゲーム制作(プログラム/企画)を経て、現在はフリーランスとしてさまざまな活動をされている、ゲーム作家・文筆家の山本貴光さん。現在、山本さんはその経歴を活かし、ゲームデザインに関する著作活動をのほか、多くの学校で非常勤講師として講義を行われています。また、その著作活動はゲームやプログラムだけに留まらず、哲学や文学、科学など多方面に渡っています。

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今回の講演は、そんな多方面に知見のある山本さんならではの、「アイディアを自在に生み出すための知と技法」をテーマに行われました。

そのための足がかりとして、講演では来場者に五つの問いが投げかけられました。

ここからはその、五つの問いを順に紹介していきます。

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Q1 最近、ワクワクしてる?
アイディアを生み出す際、最初に大事なものは「自分はワクワクできるものを発見・観察・表現」す
ることだと山本さんは言います。

もちろんこれは、ゲームだけには限りません。
ここで山本さんは、ご自身が近年ワクワクしたものとして、いくつか紹介しました。

・NASAの無人探査車による火星の地表写真

・クリエイティブディレクター寄藤文平さんの、アイディアノート

・メディアアーティスト落合陽一さんの、「魔術」的メディアアート

関連性のないこれらに山本さんはワクワクし、強く惹かれました。

山本さんはこの感覚を、今回のキーワードとして、以下の言葉にしました。

Sense of Wonder

なにかに驚けるということ

さらに「なにかに驚けるということ」とは、「未知との遭遇の楽しさ」であり、「探究心をくすぐる」ということでもあります。プランナーにも、プレイヤーにも必要となるこの感覚が、アイディアを生み出すには、何よりも大事です。(山本)

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Q2 ゲームって?

ここでは改めて、「ゲームとは何か?」が問いかけられます。

この問いに対し、山本さんはゲームを以下の構造にまとめました。

 

① モンダイを提供する

② 解決方法を提供する

③ プレイヤーは行動を選べる

④ 結果を評価する

 

これを踏まえ、さらにゲームの特徴が、いくつか提示されます。

 

・なすべきことがある!

・試行錯誤が楽しい!

・選択が評価される!

・同じなのに違う!(繰り返し楽しめる!)

 

これらの構造、特徴は、ゲームのアイディアを考える際に、ベースとなります。

ゲームは、遊ぶ人が「なにかをしたい気持ちにさせる」誘惑の装置であることを、意識しましょう。(山本)

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Q3 ゲームプランナーって?

ゲームプランナーとは何をする仕事なのか?

山本さんはプランナーの仕事全体を、以下の8ステップに分類します。

 

取材>発想>企画>発表>仕様>制作>試験>運営

 

それぞれ求められる知識やスキルは異なりますが、プランナーにとって最も重要なのは、取材と発想だと山本さんは強調します。

 

プランナーの仕事は、ワクワクをつくることです。ゲーム作りの最初の重要なモンダイは、ワクワクのタネと仕組みを、発見・想像することです。(山本)

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Q4 未知のゲームを想像するには?

未知のゲームを生み出すには、どうすればいいのでしょうか?

山本さんはゲーム構造の最初のベースとなる、新しい「モンダイ」をつくることが、それに繋がると言います。

「新しいモンダイ」をつくる方法として、山本さんは4つのパターンを挙げました。

 

① 人類にとって未知のモンダイを発明する

② ゲームで既知のモンダイを変化させる

③ ゲームで既知のモンダイを組み合わせる

④ ゲーム外のモンダイをゲームにする

 

①はまったくゼロのところからの発見なので、今回は一旦置いておきます。

②、③に関しては、ある種の応用、悪い言い方をすればパクリとも言えます。

意識してほしいのは④で、日々の生活やニュースの中で、さまざまなモンダイの観察と蒐集、分類をすることが、未知のゲームを生み出すヒントになります。(山本)

 

ここで山本さんは、「新しいモンダイ」を提示したゲームとして、いくつか紹介しました。

 

・Mushroom 11(steam)

・PRISON ARCHITECT(steam)

・ヴォルプスヴェーデ村と4人の芸術家たち:1894-1937(アナログゲーム)

・驚異の部屋:芸術に隠されたアレゴリー(アナログゲーム)

・That's QT(プレイステーション)

 

どれもゲームの外にあった「モンダイ」をゲームにしたものなので、ぜひ機会があれば遊んでみてください。(山本)
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Q5 あなたのアイディアはどこから?

では、自分のアイディアはどこからやってくるのでしょう。

山本さんはアイディアの源を、以下のように考えます。

 

α:自分の記憶全体

β:いま思い出せること

γ:経験によってαが拡大すること

 

基本的には、自分の頭の中にある経験とその記憶だけが材料となるので、ポイントは記憶をどう活用するか、ということになります。

記憶の活用方法として、山本さんはいくつかのパターンを挙げます。

 

① 引き出しを増やす

② 連想を活用する

③ 書き出して並べてみる

④ 組み合わせてみる

⑤ 変形してみる

⑥ 想像してみる

 

さらに、活用のヒントとして、いくつかの先人の文が紹介されたのち、以下の山本さんの言葉で、講演は締めくくられました。

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人間は飽きる動物です。では、どうやって「Sense of Wonder」をつくればいいのか? まさにこれこそが、ゲームプランナーにとって、最大の「モンダイ」なのです。(山本)

 

■未知のゲームをつくろう


ここからは、いよいよ演習です。

講演を踏まえ、参加者に与えられたテーマは、「未知のゲームをつくる」こと。

 

演習は以下のような流れで行われました。

 

▼分析篇(前半)20分

① 既存のゲームの「モンダイ」を洗い出す(10分)

② チームで検討・分類してみる(10分)

 

▼創作篇(後半)45分

③ テーマを決める(5分)

④ ②と③からゲームを考える(20分)

⑤ 紙に表現する(10分)

⑥ 発表!(10分)

各詳細は、以下のような内容になります。

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① 既存のゲームの「モンダイ」を洗い出す

ここではデジタル、アナログ問わず、既存のゲームから「モンダイ」を洗い出していきます。

例えば「さらわれた姫を助けたい」、「犯人を見つけたい」「ボールをゴールに入れたい」など、ジャンルは問わず、思いつく限りを書き出していきます。

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② チームで検討・分類してみる

書いた「モンダイ」を、チームで眺めて分類していく作業です。

分類項目に指定はなく、分類も大中小などの階層を作ってもよく、自由に行います。

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③ テーマを決める

ここでは、カードに書かれた内容に沿って、各チームでゲームのテーマを決めていきます。

カードは事前に用意されたもので、参加者が自由に書いた名詞や動詞が記載されています。

チームごとにカードは3枚配られ、その中からひとつをテーマに選ぶのも、いくつかを組み合わせてテーマをつくるのも自由ですが、設定するテーマは書かれたものに限定されます。

内容はランダムなため、思いもしないテーマになったチームも、多く見受けられました。

 

④ ②と③からゲームを考える

②の分類で見つかった「モンダイ」の方向性と、③で決めたテーマを組み合わせて、ひとつのゲームを考えます。

テーマだけでなく、分類で得られた方向性が組み合わさることで、さらに思いがけないゲームとなったチームも多いようでした。

 

⑤ 紙に表現する

用意された紙に、形式は問わずゲームの内容を書いていきます。

書く内容はタイトルと、ゲームに課せられた「モンダイ」の記載以外は、自由となっていました。

絵を描くチームもあれば、物語背景を書くチームもあったりと、表現方法はさまざまでした。

これは擬似的な、企画書の作成にも思えました。

 

⑥ 発表!

最終的にできた紙は張り出され、全員で「おもしろそう」と思ったものに投票していきます。

 

全体の印象としては、短い時間ということもあり、煮詰めきれなかったものもありましたが、その中でも紙に表現する際に、よりインパクトを与えるもの、短時間でも強い印象を残すものが、多く票を得た結果に感じました。

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総評ののち、山本さんは以下のような言葉で、演習を締めくくりました。


今回はかなり駆け足でやったので、満足できなかったチームもあったかと思います。
ですが、基本的なやり方は理解していただけたと思いますので、今後はもう少し時間をかけて、繰り返し試してみることをオススメします 。
さらに、自分なりに発展させていけば、ゲームの「モンダイ」をつくる技術、さらには「未知のゲームをつくる」技法が身についていくはずです。
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次回、第8回の座・芸夢のエントリーも開始しています。

みなさんのエントリーをお待ちしております。

◆開催概要はこちら http://creator.dena.jp/archives/46356923.html

 

次回の座・芸夢もおたのしみに!