こんにちは!DeNA デザイン戦略室の後藤です。

先日DeNAオフィスで、「世界で挑戦するサービスの今」をテーマに開催したイベント「UI Crunch World Edition 」を開催しました。
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今回は世界で注目されているサービスに携わっている、デザイナーや経営者など4名の成功者にご登壇いただきました。サービスの誕生から成功するまでのストーリー、そしてユーザーに多く利用されるためのデザイン制作秘話など、プレゼンやディスカッションを通して貴重なお話をいただけたので、今回特別にイベントレポートをお届けしたいと思います。

UI Crunchとは


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UIデザインに関わるすべての人の為のコミュニティ

http://ui-crunch.com/
「UI Crunch」はDeNAとGoodpatchが共同運営している、UIデザインを追求するコミュニティです。デザイナーだけではなく、エンジニアからディレクターまで、UI開発に関わるすべての人を対象とした勉強会やワークショップを定期的に開催しています。

なぜ今、UIデザインなのか

「UIデザイン」は全ての生活者に関係する重要なものです。人が何らかのテクノロジー(スマートフォン、PC、ゲーム、車、家電製品など)に触れるとき、そこには必ずUI(ユーザインタフェース)が存在します。「UIデザイン」の重要性をデザイナーたちで考え語る場が必要だと考えたDeNAとGoodpatchは「UI Crunch」を立ち上げ、UIデザインの仕事に関わる人々で集まる機会をつくり、UIデザインについて追求し続けているのです。

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テーマは、世界で挑戦するサービス

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今回の「UI Crunch」は、“世界で挑戦しているサービス”ということもあり、多くの人たちから注目を集めました。 今までで1番多い445名の方(!)にご応募いただき、会場に入れる人数に限界があることから抽選がおこなわれ、当日は約90名の方にご来場いただきました。

【ご登壇者一覧(写真左から)】 
・Wunderlist 塚田 恵さん(Microsoft プロダクトマーケティング) 
・Translimit 花城 泰夢さん(Translimit グラフィックデザイナー) 
・メルカリ 濱田 優貴さん(メルカリ 執行役員)
・Amazon  越智 円香さん(Amazon UXデザイナー)
・Goodpatch 土屋 尚史さん(Goodpatch 代表取締役)
 

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直感で使いやすいと感じた機能をカタチにする。タスクを管理したいすべての人に|Wunderlist 塚田さん

一人目の登壇者は、ToDoアプリから生産性を高めるプラットフォームサービス「Wunderlist」のプロダクトマーケティングを担当している塚田さん。 普段はドイツのベルリンでお仕事されていて、2015年6月にMicrosoftに買収されたことでMicrosoftのメンバーの一員として働くことになったそうです。「Wunderlist」は世界中の誰にでも使ってもらえるようにと30言語に対応、シンプルで使いやすいサービスを目指しています。1900万ダウンロードを突破し、世界中のビジネスマンに愛されている人気サービスとなっています。 


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01|世界の人気サービスはどのように生まれたのか「Wunderlist」の歴史 
2010年に6人のメンバーで立ち上げられた「Wunderlist」、もともとはウェブ制作の会社だったそうです。業務をおこなう中で、自分たちが満足できるようなタスク管理ツールがないことに気づき、「Wunderlist」を開発することになったそうです!もともと自分たちのために開発したサービスで、ビジネスとして成り立たせるつもりはなかったとのことですが、多くのユーザーからビジネスシーンでも使いたいという依頼をいただいたことから、世界中誰でも活用できるプロダクトへと展開したそうです。 

02|予想だにしなかった成功
当時は無名だった「Wunderlist」ですが、サービスをリリースしてから、わずか300日以内で100万ダウンロードを突破しました。当時、世界には「Wunderlist」ほどマルチ管理できるツールは存在しなかったようです。

03|失敗を経験したことで得られた、サービスの方向性
しかし、決してすべてのサービス開発が上手くいったわけではないようです。「Wunderlist」に続いて、プロジェクトマネージメントに特化した「Wunderkit」というサービスをリリースしたことがあったそうですが、ダウンロード数は伸びたものの、機能をこだわりすぎたことによって、複雑な設計になってしまい、アクティブユーザ数がどんどん減っていったそうです。問題点に気づき、本来のカタチに戻ることを決めたチームメンバーは「Wunderlist2」を開発したことで、その後ユーザー数が倍に伸ばしたそうです。

04|自然とダウンロード数が増加!?ユーザーに愛される秘密とは 
テストとしてアドワーズやFacebook広告を使用したことはあっても、使った費用は月1万円程度。基本的に口コミや、自然と発見されて利用されることが多いそうです。「Wunderlist」には多くのファンがいて、リリースするたびに注目され、ファンやジャーナリストの方がブログやニュース記事を書くことで、さらに情報が拡散されて、人気が広がり続けているそうです。また社員は、もともと「Wunderlist」のファンだったメンバーが集まっているので、好きなプロダクトがどうすればもっと使いやすくなるのか、熱の入ったディスカッションが出来るそうです。社員がサービスの1番のファンであることが、ユーザーに愛されるサービスへと成長する鍵だそうです。 
 
05|「Wunderlist3」を開発中、今後の挑戦とは 
「Wunderlist3」は今まで以上に使いやすいサービスを目指して開発していると話す塚田さん。今後は、Dropboxやslackなど連携できるビジネスサービスも増やしていくとのこと。古いデザインは捨て、新しいアイデアを取り入れ続ける「Wunderlist」の今後の展開が楽しみです。
   

グローバルを目指したデザインへ|Translimit 花城さん 

二人目の登壇者は、BrainWarsやBrainDotsなど世界中で人気のゲームを開発する「Translimit(トランスリミット) 」グラフィックデザイナーの花城さんです。 


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 01|花城さんが「Translimit 」を立ち上げるまで
もともとは出版社でデザイナーとして働いていた花城さん。退職後にウェブ・モバイル領域の仕事に携わるようになり、世界で働いてみたいという思いから、仕事と留学を兼ねてフィリピンやリトアニアに滞在したこともあったそうです。その後、日本に帰ってきたタイミングで参加したハッカソンで「Translimit 」の高場代表と出会ったそうです。

02|「BrainWars」誕生のきっかけ
高場代表から“グローバルに向けた脳トレアプリのデザインを制作してほしい”という依頼を受けて、「BrainWars」の開発がはじまったそうです。海外ではシンプルなデザインのゲームが人気ということから、フラットデザインを活用して制作されています。世界中の人に楽しんでもらえるように、アイコンでゲームのルールがわかるような、言語に依存しない表現が考えられました。開発には4ヶ月かかったそうです。

03|iTune Storeに取り上げられたことで、アメリカから注目される
「BrainWars」はアメリカのiTune Storeにフィーチャーされたことで、ブレイクしたそうです。広告費を全くかけずに1400万ダウンロードを突破、アプリのダウンロードランキングは全米2位、iTune Storeで2万件のレビューが書かれるという結果を残し、アメリカを中心とした150カ国で遊ばれるゲームとなりました。
 
04|次のプロジェクトへ
「BrainWars」で成果を出した後、新しいゲーム「BrainDots」を開発することになった花城さん。前回同様、高場代表から依頼があり“物理演算をつかったゲーム”をデザインすることになりました。「BrainWars」のデザイン制作の際もそうですが、ゲーム説明を省略することに苦戦したため、プロットタイプ制作の際、わかりやすいゲームコンセプトづくりを突き詰めたそうです。そこから、20人いるエンジニアたちと一緒に開発を進めて無事リリース!リリースから1ヶ月間で1000万ダウンロードを突破し、現在でもダウンロード数を伸ばし続けているそうです。
「BrainDots」は「BrainWars」よりも海外で遊ばれている比率が高く、特に韓国のダウンロード数が伸びています。韓国版のデザインは、韓国のテレビ番組で表示されているタイポグラフィやデザインを研究して制作したそうです。そういった研究が身を結んだのか韓国ユーザーの反応が良く、instagramでは“、カフェで「BrainDots」をして遊ぶのがおしゃれ”といった投稿が見られるようになったそうです。

05|はじめから非言語化したプロダクト開発へ、Translimitの今後の展開
これまでは日本語から英語にトランスレートしていくような開発方法でしたが、現在はノンバーバルコミュニケーションの姿勢で開発するようになったそうです。その姿勢が、世界的ヒットに繋がったのではないかと花城さんは話していました。面白いゲームを開発するために心がけているのは、隣にいるエンジニアのテンションやモチベーションを上げれるようなデザインをする努力をすること…だそうです。昨年3億円の出資を得たこともあり、今後も世界でヒットするようなプロダクト開発が期待できます!

   

自ら働きやすい環境を築ける人が、本当に優秀なデザイナー|Amazon 越智さん 

三人目の登壇者は、AmazonでUXデザイナーとして働いている越智さんです。 UXデザイナーの業務以外にも、リサーチやUIデザイン制作を行うこともあるそうです。今回の登壇では、Amazonのプロダクトについてのお話は出来ないとのことでしたので、過去に越智さんが経験してきた「インターナショナルチーム」での働き方についてお話していただきました。

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 01|デンマークで初めて経験したインターナショナルお仕事
当時英語があまり話せなかったので、反発心を抱きながら働いていたという越智さん。国際的な環境にいくと、今まで抱いていた働き方や価値観を全て取りはらって、新しい働き方を吸収する必要があるそうです。

02|自身のアイデンティティを伝え続ける
海外の方々は意思をストレートに伝える習慣があり、越智さんは働き初めたばかりの頃、どのような反応や対応をすればいいのかわからず、最初は自身の意思を隠し通して過ごしていたそうです。ですが、思ったことをしっかり伝えないとダメだと気づかされる事件をいくつか経験したことで、自身のアイデンティティが仕事に必要なことにだんだんと気づきました。会社やプロジェクトに採用された時点で、個人の考え方にはバリューがあるので、インターナショナルで文化に差のある環境でも負けずに、発言していってほしいと語っていました。「海外のほうが言葉遣いがキツイことが多いので、慣れないうちはへこむこともあるかもしれませんが、チームのみんなはきっとあなたの意見を望んでいます。」
変な英語でもいいのでとにかく喋ることが重要だそうです。そういった積極的な行動を積み重ねることによって、チームに信頼してもらえるようになるそうです。

 03|チームの信頼を得ること
最初からすごく良いデザインを提案できるデザイナーは、世の中に多くいないと話します。デザインスケッチをミーティングで提出すると、仲間が微妙な反応をしていて、よく落ち込んでいたそうです。ですが、自分のことを必要だと思って毅然とした態度で望むことが、信頼を勝ち取ることにつながるそうです。最初は変な英語のプレゼンで、なんだこいつは…といった目で見られていたこともあったそうですが、それでも一生懸命発言を続けることで、チームは意見を聞いてくれるようになり、頼られるようになるそうです。
「良いデザイナーというのは自分の働きやすい環境や、良い人間関係をつくれる人なんじゃないかと思うんです。海外の仕事は人間力がすごく試されます。」
   

大衆向けのサービスだからこそ、親しみやすいデザインに|メルカリ 濱田さん

最後の登壇者は、フリマアプリ「メルカリ」執行役員の濱田さんです。 「メルカリ」は2013年7月にリリースされて、日本最大級のフリマアプリへと成長しました。3分で簡単に商品を出品でき、洋服・おもちゃ・ゲームなど、オールジャンルの商品が売買されています。サポートも充実しているため多くのユーザーが愛用。現在アプリは、国内だけで2000万以上(※2015年10月現在)ダウンロードされています。

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 01|メルカリに携わるまで
学生時代に、ウェブ制作と自社メディアを運営する「サイブリッジ」という会社を立ち上げた濱田さん。その会社で10年ほど働いて、新しいことに挑戦したいと思いはじめた2014年に、共同創業者に代表を引き継いで、メルカリにジョインしたそうです。前職時代からサービスつくることが大好きで、エンジニアに近い開発業務に携わっていた濱田さん。現在はメルカリで日本のプロダクトの責任者として、企画・ディレクション業務を行っているとのことです。

 02|マーケティングに力を入れ、CMを打つ
メルカリはサービスを立ち上げてからというもの、マーケティングにかなり力を入れてきたそうです。テレビCMを打ったりと、広告をうまく活用したことがヒットにつながったそうです。海外に向けてUS版もリリースし、日本以外の国ですと200万以上ダウンロードされています。

 03|メルカリのデザイン史
メルカリは“あえて”おしゃれなデザインにしなかったそうです。カジュアルなデザインにすることで、出品ハードルをさげて、おしゃれに自信のない人でも出品しやすいような雰囲気づくりが行われています。また、US版の場合ですと、シンプルでスタイリッシュなデザインほうがウケるということがリサーチの結果から確認できたため、フラットデザインを活用しているようです。機能もデザインも日本版とUS版はほぼ一緒ですが、決算・発送手続きは現地の環境に合わせて対応しているようです。

 04|厳重なチーム体制
メルカリのプロダクトチームは50名ほどです。プロダクトチームの中でも、タイムライン改善チームや、出品促進チームなど、さらに細かくチーム分けがされているそうです。とくにチーム体制で力を入れているのはサポートチームで、ユーザー同士がお金の取引をするサービスなので、安全性を重視しているようです。また、メルカリのデザイナーですが、半年前までは1人だったのですが、現在は4人に増えたとのことです。
 

▼パネルディスカッション

プレゼン終了後は、登壇いただいた4名にGoodPatch土屋代表がモデレーターとして加わって、パネルディスカッションを行いました。土屋代表は久しぶりの登壇となります。個人のプレゼンテーションで語りきれなかった部分を探ったり、来場いただいた方々からの質問にも答えていただきました。 

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盛り上がった質問をピックアップ 

<Q>Wonderlistさんはリリース前、サービスを使ってもらいたいターゲットは決めていたのでしょうか。
<A>塚田さん:リリース時、ターゲットは特に定めていませんでした。そして、現在も特に決めていないんです。デザイナーの直感的モノサシで、誰にとっても使いやすいプロダクトを追求し開発し続けています。「Wonderlist」にはデザイナーが6名いて、それぞれが携わりたい機能に手をあげて作り続けているので、社内では“永遠のハッカソン”と言われています。

<Q>日本発のプロダクト「メルカリ」は、最初からグローバル展開を意識して作っていたのでしょうか。
<A>濱田さん:最初の頃は、日本で成果を出すことを1番に考えていました。なので、グローバル展開は意識していましたが、体制などはできていなかったです。US版をやるとなったタイミングで、体制をつくりはじめました。 

<Q>ベルリンで活動をはじめる場合、どのくらいのお金が必要なのでしょうか。
<A>塚田さん:ベルリンは最近、スタートアップしやすい環境として注目を集めているので、様々な国から人が集まっていて家賃は徐々に上がってきています。ですが、生活コストはすごく安くて、家賃込みで13万あれば普通に暮らしていけます。 また他国と比べるとVISAも取りやすく、フリーランスとしても働きやすい環境です。 

<Q>デザイナー採用で重要視するスキルを教えてください。<A>濱田さん:アプリのデザイン経験は欲しいです。また、少ない機能でファンクションを実行できる設計を考えれる人がいいです
<A>花城さん:打たれ強いデザイナーが欲しいです。僕は20人のエンジニアに向けて毎回つくったものをプレゼンしていますが、反応がいまいちなこともあります。そんな時も前向きに作り続けれる人がいいですね。
<A>塚田さん:ベルリンで働けること、英語ができることは大前提としてあります。それ以外は技術よりもフィーリングが合うか、カルチャーがマッチするか、チームとのコミュニケーションスキルを重視します。
<A>越智さん:UIデザイナーというのは日本ではあまり採用していないです。デザイン力ももちろん大事ですが、プレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルが重要だと思います。

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熱く語る登壇者を前に、参加者の方々は一生懸命メモをとっていました。ベルリンに住みたい!という声が多く上がっていたのが印象的でした。

登壇者や参加者と交流を深める、懇親会

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パネルディスカッションを終えると、参加者&登壇者のみなさんで料理とお酒を囲んで懇親会。デザイナーの方々が多く集まっていることもあり、みなさん意気投合。楽しそうにお話する様子がうかがえました。

最後に

私は初めて「UI Crunch」に参加したとき、イメージしていた“UIデザイン”のイベントとは良い意味で異なるものでした。 「UI Crunch」は“UIデザイン”という枠組みを超えて、これからのデザイナーが目指すべき未来像・デザインクオリティが導く会社経営・デザインチームの人材マネジメント・UIデザインが築く企業の歴史…など、“UIデザイン”を通して展開した、組織やサービスづくりなどを学べる機会になっています。

今後もさまざまなテーマで開催していくので、ぜひお時間がある方は申し込んでみてください。「UI Crunch World Edition / 世界で挑戦するサービスの今」に参加してくださった登壇者のみなさま、来場者のみなさまありがとうございました!

過去のUI Crunchについてはこちら
UI Crunch|当日の録画授業はこちら


---Special Thanks--- 運営スタッフと登壇者の集合写真

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