こんにちは、イベント運営担当の藤村です。

DeNAでは、若手ゲームプランナーの育成を目的に、『座・芸夢 若手ゲームプランナー育成塾 ~未来を担う人に伝えたいこと~』というイベントを運営しています。
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業界内の著名な方々を講師に迎え、実践的な講演・演習を行う本イベントも5回目を迎えました。
今回も多くの参加者にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

ここからは、本イベントの概要をレポートしていきます。
今回参加できなかった方も、こちらのレポートで会場の雰囲気を感じていただければ幸いです。

■企画の効率化を意識する

今回講演していただいたのは、「ワンダと巨像」など、
多くのゲーム開発に携わってきた簗瀨洋平(やなせ ようへい)さん。
 
現在はゲーム制作だけでなく、その経歴を活かし、
ゲームを中心としたインタラクティブシステム、コンテンツに関する研究を行っています。
 
本イベントでは第2回に続く、2回目のご登壇となります。
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今回、簗瀨さんがテーマに掲げたのは「企画の効率化」

まず最初に簗瀨さんは、「ゲーム開発者のプロとアマの違いは何か?」と、参加者に問いかけます。
いくつかある中で、簗瀨さんがもっとも大切なもののひとつとして挙げたのは、「納期を守ること」でした。限られた時間の中で、どれだけ当初イメージしたもの、目的に沿ったものをデザインできるかどうかが、プロとアマの大きな違いだということです。

極論を言えば、どんなゲームでも時間をかけさえすれば、面白いものになります。
実際、そうやってできた素晴らしいゲームや、開発に何年もかけて作り上げているゲームがありますが、現実問題としてコストは膨大なものになってしまいます。

そうならないためにも、企画の効率化、つまり実制作以前のベースとなる、さまざまな設定や企画作成の効率化が、重要になるのです。

企画の効率化にあたって、簗瀨さんは3つのポイントを提示しました。
「事前調査」、「解析」、「要素を絞る」です。
それぞれ、具体的にどういったことなのか、解説が続きます。
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>「事前調査」とは
企画を作成するにあたり、まず行うべきなのは事前調査です。

例えばRPGの企画書で、「100種類の敵が登場」と書かれているとします。
ただ字面のインパクトだけでそうしたのだとすれば、実際の工数を見越していない、駄目な企画です。

では、どのくらいの数が適切なのか?
それを知るために、事前調査が必要なのです。

まずは同ジャンル、同ターゲット作品の情報やレビューを徹底的に集め、調べる。
研究発表などでは、当たり前に行われているサーベイ(survey:既存資料の調査)が、ゲーム開発の場では意外と行われていないと、簗瀨さんは言います。

先のRPGを例にすると、例えば海外の人気オープンワールドRPGでは、敵の種類は30~40体と、実はそれほど多くはありません。

こういったことを知ることで、単純に「100体出す」と考えることはなくなり、効率化に結びつくのです。

>「解析」とは
事前調査では分かりにくい、視覚化、言語化のみで説明しにくいものは、数値化する必要があります。
これがつまり解析です。

先に挙げた敵の数なども、正確にはこれに含まれますが、さらに言えば、敵のパラメータや、レベルアップ時のステータス変化など、単純にプレイしているだけでは分かりにくい、見えにくい部分を解析することです。

また、例えばカメラの動きやスピードなど、通常は意識しない部分などにも、解析は必要になります。
「●●●のカメラみたいにして」と言うより、「●秒で360度視界が回る」と言った方が、意図を明確に伝えることができます。

これもまた、企画の効率化には重要なことです。

>「要素を絞る」とは
最後は、上記2つを踏まえ「要素を絞る」こと。

面白いと思う要素を積み上げ過ぎてしまうと、ゲームの規模が無駄に大きくなりすぎてしまう場合があります。
 
そうならないためには企画の段階で、要素を絞らなくてはいけません。

ここで例に挙がったのは、敵キャラクターの作り方。

思いつく行動特性をどんどんと増やしていくのではなく、例えば「移動パターン」×「攻撃パターン」×「リアクション」と言った形で分解して掛け合わせていく方が、早くバリエーションを増やすことができます。

また、最弱の敵をベースに、強さを積み上げていくよりも、隙のないものを作ってから、徐々に弱体化させてパターンを作る方が、バランスが崩れにくいものができます。

これらは、すぐに実践でも使えそうな、効率化の例でした。

前半は以上の講義を中心に行われ、最後に以下の言葉で締めくくられました。
ゲームを作るというのはクリエイティブな作業ではありますが、前例が何もない0から作るということは、まずありません。ならばまずは、「事前調査」や「解析」から始めれば、企画段階でより人を納得させることができ、質の高いものを作る時間を効率化できます。
また、世の中にまだないものを作ろうというときにも、「事前調査」は「解析」は役に立つはずです。

■RPGの解析を実践

講演の後半は、簗瀨さんがこの日のために作った、簡単なRPGの解析を実際に行うという内容になりました。
 
ゲームの入ったPCと筆記用具が配布され、解析は班ごとに行われます。

与えられた時間は40分。
課題は以下のものになります。

以下の要素を推測してください
・戦闘計算式
・敵それぞれのパラメータ

ゲームは戦闘画面のみのシンプルなRPGで、戦闘はすべてオートで進行していきます。
味方キャラクター3人のパラメータは表示されますが、敵のパラメータは表示されません。
敵は4体登場し、連続で戦っていくことになります。

プレイヤーが介入できる要素はないので、参加者はステータスやダメージなど、基本的に数値の変化のみを追っていくことになります。
それらの数値から、果たして戦闘計算式は導けるのでしょうか?
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40分後、正解とともに、各班の出した回答と、分析方法が発表されました。
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結果的には短時間ということもあってか、完全な正解を出せた班は、残念ながら出ませんでした。
ここで簗瀨さんから、どのように解析をすべきだったかという、アドバイスが出されます。
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・正確な記録を残す
戦闘ログは非常に早く流れるので、まずは正確に記録を取ることが重要。
今回の場合は携帯などで、動画を撮影するのがいちばん手っ取り早い。
動画ならば当初注目していなかった部分も、あとで追って確認できる。

・記録をまとめる
筆記用具で記録をしていた班が多かったが、のちの整理や解析を考えると、
表計算ソフトなどのツールを使った方が、結果的に効率がいい。
配布された筆記用具は、実は引っかけだった

・解析する
ダメージ量には揺らぎもあるので、正確な分析をするには統計学の知識があった方がいい。
一旦仮説が出た場合は、他者の意見も借りて厳しく検証が必要。
仮説というのは、それが正しいと思えるように立てられるもの。
間違った仮説で人を動かしてしまうと、大きなロスになる。

以上で、講演は締めくくられました。
 
正解を導きけなかった悔しさもあってか、アドバイスを聞いた参加者たちの間からは、ため息のような声が多く聞こえたのが印象的でした。 

講演後の恒例となった講師からの押印では、前回に引き続き、スタンプが4つ溜まった方が数人いらっしゃいました。
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中級に昇級した人も徐々に増え、今後もますます盛り上がっていきそうです!

次回、第6回の座・芸夢のエントリーも開始しています。
みなさんのエントリーをお待ちしております。
◆開催概要はこちら http://creator.dena.jp/archives/45784231.html

次回の座・芸夢もおたのしみに!
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