こんにちは。ソーシャルゲーム本部 SG-SWATりぼんの山口です。

先日、CEDEC2013というゲーム開発者や
ゲーム業界を志望する学生のためのイベントで
ソーシャルゲーム開発におけるUXの考え方について話す機会をいただきました。

詳細は下記のスライドをご覧いただきたいのですが「UXの定量分析についてもっと具体的な話を聞きたい!」というご意見をいただきましたので、今回はここを掘り下げてお話しします。


UIは銀の弾丸ではない

「なんだか最近ユーザ数も増えてないし、成長感がないし、UI変えようか?」
こんな感じでUI変更が始まること、良くあると思います。

そして色々考えてがんばってUIを変えてみたものの、売り上げ的には差が見えない。
「このUI変更、失敗だね」という雰囲気と、変化を強いられたユーザーの不満…
そもそもの前提で、実は違和感のあるジャッジをしているのです。

UI改修で売り上げが上がらない理由

ソーシャルゲームにおけるUXデザインとは、下記3つの項目で構成されています。

ゲームデザイン…ゲームとしての"おもしろさ"
インターフェースデザイン…遊んでみるときの"わかりやすさ"
インタラクションデザイン…さわってみたときの"きもちよさ"

原因が上記のどこに値するのかを判断した上でジャッジできていればいいのですが
その場の雰囲気でなんとなくUIになってしまうと、その時の低迷の原因が

(操作が)わかりにくいからダメだ

ということとなり、いつのまにかUIを変えたらみんな幸せになるぞ、
というロジックになってしまいます。
ただし、本来はゲームデザイン含めたサービスとしての課題を解決することが必要です。

本来ユーザーにどんな風に楽しんでほしいのかを描くUXデザイン設計の工程を経て
実際に改善施策を実施した場合に思った通りであったのかを振り返るものです。
UI改修自体は、楽しんでほしい施策の中での見せ方を考える手段のひとつでしかありません。

UIの影響が売り上げや継続率などの分かりやすいKPIに直結する因果か、というと
必ずしもそうではないので、印象としてはUI改修しても売り上げが上がらないな、
と言うものになるのだと思います。
もちろん、全てに意味がないなんてことはありません。
それを明らかにするために使うのが、定量分析のノウハウです。

UIを、更にUXを定量分析するとは?

“カードバトルイベントに人気が出てきているが使い勝手が悪い。
本当は上限突破機能やカード詳細機能などがあるのに
動線が悪いせいで本来提供できる楽しさが提供しきれていない”

こんな課題があり、UI改修を行うとします。
ここで描くシナリオは、使い勝手・動線改善により
カードバトルのアクティビティが向上すること。
これを定量分析するために、GoogleAnalyticsやAdobe Analyticsといった
Web分析ツールの力を借ります。

シナリオをユーザーの行動に落としてみよう

UI改修がうまく行く=狙った通りの行動を生み出せている、ということなので
狙った通りの行動だったのかどうか評価できるようにしましょう。

先の例の、カードバトルのアクティビティが向上する、ということを
細かく分解すると、下記のようなシナリオとなります。

カードの合成が楽になる

カードをさくっと強くできるので、どんどんバトルにも勝つ

バトルに勝ち続けるので、カードを入手するためのメダルをたくさん手に入れる

メダルがたくさんあるので、カードをたくさん手に入れる

カードが余るので売却の機会が増える(ただし強いカードは売らない)

より強いカードを手に入れる機会が増え、カードの編成機会が増える

強いカードをさらに強くするため、合成の機会が増える

(以下繰り返し)

それぞれのページのPVや訪問回数を見るだけでもある程度の傾向は分かりますが
各ページ間の遷移を見るようにすると、更に確度の高い情報が得られます。
例えば、カードの合成ページの次にどのページに行くのか、
その逆に、合成ページにくる前にはどこにいたのか、というのは、
簡単にツールで確認できます。

GoogleAnalyticsであれば、コンテンツ>すべてのページを選び、
ページ上部にあるナビゲーションサマリーを使うと便利です。

Navigation

遷移だけで分かるものであればこれでもよいのですが、チェックボックスを使っているのか、メニューを開いているのか、等の場合はイベント機能を活用する手があります。

GoogleAnalyticsのイベント機能を使いこなそう

ボタンを押した、Formを投稿した、特定の位置までスクロールした、など
javascriptで発火できるアクションについては、
ページ遷移がなくともGoogleAnalytics内で測定することができます。

ファーストビューに出しているお知らせボタンって押されてるの?というのも
もちろん測定できます。

よく使われるイベントとしては、trackPageviewとtrackEventの2種類があり、
ざっくり言ってしまうと、前者はイベントをページとして扱うもの、
後者はイベントをページとして扱わないものとなります。
ページとして扱う場合は、そのイベントは全体のPVに含まれ、
かつ仮想的にページとして存在するようになります。

例えば、ナビゲーション用のメニュー経由で特定のページのアクセスがあるか見たい場合、
メニューを開くイベントをtrackPageviewで測定しておけば、
メニュー経由なのか、そうではないのかが明確に区別できます。

詳細な実装についてはweb担当者Forumさんのブログ等に詳しく載っていますので
説明については割愛しますが、画面遷移を挟むイベントにおいては下記のように
hitCallback経由でイベントを呼び出すことを推奨します。

<a href="(遷移先のURL)" onclick="_gaq.push(['_trackPageview', {page:'(仮想ページの名前)', hitCallback: function() { document.location.href = '(遷移先のURL)'; }}]);">ゲームTOPへ</a>

理由としては、GoogleAnalyticsのイベント取得前に画面遷移が発生してしまい
結局イベントがとれない、と言う事象が発生するためです。
この辺りはサーバの環境にも影響してきますので、
もしうまくイベントがとれない場合には試してみてください。

UIの分析とUXの分析ってどう違うの?

UXの定量分析、と言う表現に違和感がある人もいらっしゃると思います。
僕自身の中では、下記のように分解しています。

UX定量分析

設計したシナリオが合っているか、UIに限らずユーザーニーズを満たせていたかを評価する
(例:このタイミングでこのボタン必要だよね→実際に使われてるかどうか評価しよう)

UI定量分析

UIにおいて思っていた通りの分かりやすさが担保されていたかを評価する
(例:このページならここにバナーを出すのが気づかれるよね
→実際に認知されているかどうか評価しよう)

UIを接点として考えるため、UIの定量分析としてまとめてしまっても良いのですが
連続した利用シーンを考えるとUIだけでは解釈しきれないこともあります。
特定のシーンでしか必要ではない機能の出し分けや
インタラクション要素が絡む場合の利用状況については
UIパーツではなくシナリオで評価する方が分かりやすいのではないか…
この辺、半ば好みの問題かもしれませんが、ピンと来たら使ってみてください。

やってみて、振り返ってみて次の打ち手へ!

定量分析してみたら思った通りにユーザーが動いてくれていた、
でも主要KPIにはまだ大きな動きがない、ということもあるかもしれません。

UI改修の狙いとしてはOK。でも、満足いただけるUXにはまだ足りない何かがある。
しかし、定量分析によって、UI改修のどこがどう刺さっていたのかが分からず
結果として次にどんな施策を打つべきか、どんな施策は打たなくていいのかを
客観的に議論できるようになります。

もちろん、ユーザーからのご意見、自分たちで使ってみた感触などの定性観点も重要です。
元々僕自身も女子ゲーのプランナーとして、身近なメンバーをベースに
「女子とは!」みたいなことをよく話していましたが、一度自分の中に像ができてしまうと
それに固執してしまい、変な方向に行っても気づけないリスクが出てきます。
「自分の感覚、合ってるよね?」とチェックするためにも、
定量評価手法、ぜひ使ってみてください。


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